フリーランスになって初年度の確定申告をしてきました。
そこまで稼いでるわけでもなく、業務委託のため書く内容も少ないし、4年前にもやったことがあるので自分で調べながらで大丈夫と判断し行いましたが、意外と調べても出てこないこと多くてだいぶ苦戦しました。
特に昨年、途中で退職して新たに事業開始した人の確定申告書類の書き方が意外と載ってなかったのでそんな点を中心にメモがてら記録しました。なので同じ境遇の人の助けになれば幸いです。
確定申告が必要な所得金基準
■専業の場合の個人事業主
所得38万円以下の場合は、確定申告不要です。
■副業の個人事業の場合
給与所得者などが副業で個人事業を行っている場合は、所得金額が20万円以下では確定申告の必要がありません。給与所得者であっても、20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要です。
■年内に退職→無職、アルバイト、転職、個人事業主になった場合
退職した会社、もしくは転職した会社で年末調整を受けていない場合は確定申告が必要です。今回の私はこちらに該当します。
確定申告で提出する書類
まず申告書のAとBどちらかを用意します。
主にサラリーマンや年金受給者は「申告書A」
個人事業主やフリーランスの人は、「申告書B」を使用します。
申告書Aは申告書Bの簡易版ですので、申告書Aで事足りる人が申告書Bを使用して申告をしても問題はありません。
続いて「白色」か「青色」の申告書類を用意しますが大まかに説明すると
■白色は誰でも使える特典なしのノーマルアイテム。
■青色は事前に申請が必要で記載内容も白色より難しいがその分特典がつくアイテム。
青色の特典は
・55万~65万or10万の特別控除が得られる(前者は書く書類や帳簿がめちゃ増える)
・3年の赤字繰越可能になる
・身内に給料を払って給料にできる
・10万~30万未満の高額なものを経費にできる
4年前も白色の方で確定申告したので、今回私は経験のためもあり事業所得含む青色申告10万特別控除で申請しました。それでは次に基本的な確定申告の流れを記載します。
確定申告作業の流れ
確定申告は基本の流れとして課税所得を算出し申告する作業です。
・帳簿から「売上(総収入)」を出す
↓
・そこから経費を引く(証明に領収書や経費帳が必要)
↓
・さらに各控除を引く(基礎控除や社会保険料控除など)
↓
・青色申告はさらにそこから内容によって65万or55万or10万引ける。
↓
残った最終的な額が課税所得でそれを申告することで税金の料金が決定する。
といった流れなので
課税所得= 売上(総収入)-経費ー控除ー青色特別控除
といった形になります。勘違いされやすいのが確定申告では領収書、帳簿は提出せず保存するだけということ。控除関係は必要あるものだけ証明書を添付しますがわりと出すものは少ないのです。
領収書、帳簿はその確定申告をした後、税務署の方がチェックしておかしいと思われた場合、調査をすることがあるのでその時証明するものとして必要なものということです。
なお会社員→個人事業主になった場合は
会社員時代の給与所得と事業所得の両方を合算して課税所得を算出し、確定申告をします。
控除関係参考(社会保険料は入れ忘れが多いらしいです)
それでは確定申告に必要な書類を見ていきましょう。
白色申告の場合に提出する必要書類
■収支内訳書(合計2ページ)
■確定申告書B(合計2ページ + 添付書類台紙)
書き方は他サイトのほうが詳しいのでそちらをご参照ください。
おすすめ参考サイト
青色申告の場合に提出する必要書類
■所得税青色申告決算書(合計4ページ)
■確定申告書B(合計2ページ + 添付書類台紙)
青色申告でも65万円控除を狙わないのであれば、4ページ目の貸借対照表は不要です。
なお会社員時代の給与所得はこちらの方には書きません。申告書Bの方に書くことになりますのでご注意を。
上に同じく書き方は他サイトのほうが詳しいのでそちらをご参照ください。
おすすめ参考サイト
添付書類について
マイナンバーの写し、及び控除を受ける場合に必要な書類を台紙に貼り付けます。各種添付書類が添付されていない場合は控除を受けられません。
貼り方についてはそれほど神経質になる必要ないです。要は添付書類の内容がわかればいいだけなので「重なって見えない」等がなければ良し。貼るのはのり・テープ・ホチキス等なんでもOKです。
※なお源泉徴収票はマイナンバー管理の恩恵を受け添付不要になりました。
国民健康保険、介護保険は、領収書も 控除証明書も添付不要(市町村で把握しているため)国民年金は、 控除証明書(原本)が必要 (失くした場合は、再交付可能です)
保存する帳簿(青色申告10万円特別控除の場合)
青色申告10万円控除に求められる「簡易帳簿」は5つです。
白色はこれより少なく65万特別控除の場合はこれより増えます。
■(1)現金出納帳
事業用の現金の出し入れの状況を、取引順に記入する帳簿。
現金売上や現金仕入を行った場合の売上帳と仕入帳も兼ねています。
おすすめ参考サイト
■(2)売掛帳
売掛金とは売上代金の未入金であり、得意先ごとに口座(取引の内容を記入する場所。「勘定口座」ともいいます)を設け、商品などの掛け売りや、売掛金の回収の状況を記入する帳簿。現金収入のみであれば、売掛帳を使うことはあり得ないので不要です。
なお売上に関しては基本的に発生主義で考えます。(12月に報酬が発生し請求した場合、1月に入金予定だとしても12月に売上があったと考える考え方)
■(3)買掛帳
仕入先ごとに口座を設け、商品などの掛け買いや、買掛金の支払いの状況を記入する帳簿。貸倒引当金や退職給与引当金などの勘定を設ける場合にも、この買掛帳を利用して、それぞれの口座を設けて記入することが可能です。
買掛金とは商品の仕入等の場合に使うものであり、楽譜の購入や水道光熱費等の経費は、未払であれば未払金や未払費用で処理するため、買掛帳を使う必要はありません。仕入れがない場合は不要。
■(4)経費帳
仕入以外の事業上の費用を租税公課、水道光熱費、旅費交通費など科目ごとに口座を設けて記入する帳簿。
10万以上のものを買ったときの経費参考サイト
経費の分類参考サイトwww.sakado.or.jp
■(5)固定資産台帳
事業用の減価償却資産や繰延資産について、原則として個々の減価償却資産ごとに口座を設け、資産の取得およびその異動に関する事項などを記入する帳簿。
税込みで計算し、減価償却費の端数計算は、迷ったら「切上げ」計算でOKとのこと。
その他帳簿関係のおすすめ参考サイト
帳簿の作り方
10万以上の資産を一年で償却する場合の参考
以上の書類を揃えたらそれを申告書に反映、計算していきます。
手書きでもできますが、国税庁の無料で使える「確定申告書等作成コーナー」で作れば自動計算してくれますし、データを保存してセーブしたり来年に使い回すこともできるので個人的にお薦めです。
確定申告書類が完成したら
提出方法は主に以下のやり方があります。
■e-tax→そのままネット上で提出。
■郵送
■管轄の税務署が指定する会場で直接持参し提出
自分は直接持参提出したのでそのやり方を記載します。
まず書類を印刷し終えたあと、添付書類を台紙に貼り、記入漏れ等ないか確認し、判子を押してクリアファイルに入れます。
郵送の場合は必要ですが直接持参の場合は窓口で渡せばいいので封筒に入れなくても大丈夫です。
提出場所は自分が住んでる所によって変わるので管轄税務署のHPなどでしっかり場所を確認し向かいます。休日はめちゃくちゃ混むらしいので平日に向かうのが良いです。
自分の管轄税務署は西川口税務署なのですが確定申告会場は違っており 「SKIPシティ 総合棟(A1街区)1階多目的ホール」でやっていたのでそちらに自転車で向かいました。
平日に行ったのでその場で作成する人は70分待ちくらいでしたが、提出のコーナーはガラガラでものの5分くらいで終わりました。
提出の際、控えがあるなら収受印を押してもらえるので押してもらいましょう。しっかり提出したことの証明になります。提出用と控えと同時に提出しないと控えに収受印を押してくれませんので注意。
これで確定申告は無事終了です。あとは帳簿、領収書、その他請求書など取引き関係のものは保存義務があるので税務調査が入ったときに備えてしっかりとっときましょう。保存義務が5年のものもありますが、7年とっとけば間違いないです。
還付金があれば1ヶ月後くらいに振り込まれます。(なお確定申告の還付金は雑収入になります)
所得税計算の結果売上290万以上だと事業税、売上1000万以上だと消費税がかかるようになります。また、青色65万特別控除になると簿記の知識がないと厳しくなってきますので事業所得250万以上になりそうでしたら税理士さんに頼むか会計ソフト使ってやるのがいいと思います。初年度色々教えてもらって次年度は自分でやるのも良いかもしれません。
以上フリーランス初年度の確定申告メモでした。
以下参考本
「フリーランス&個人事業主 確定申告でお金を残す! 元国税調査官のウラ技 第6版」
確定申告の基本の流れや「あ、そんなのもできるんだ」、といった情報が書いてあります。元国税調査官の方が書いた本なので説得力も十分。
「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」
確定申告の基礎や流れが漫画でわかりやすく解説されています。クリエーター方面に強い税理士さんのアドバイスが結構自分に当てはまるところが多かったので参考になりました。
「のうぜい! ~同人作家のための確定申告ナビ~」
元税務職員の漫画家さんが書いた同人作家の確定申告についてのやり方をマンガで学べる本です。買ったのは10年前ですが今でも考え方や制度は大きく変わってはいないので参考にできます。上記2冊の補完として読み直し。
本は以上の三冊をメインに参考にしましたが基本ネットの税理士さんのサイトとかを参考に最新の情報かどうかを確認しつつ行いました。
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